第10話

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和也さんに対しても常務に対しても あたしはなんて中途半端なんだろう。 ふとハートのネックレスをつまんでじっと見た。 このネックレスはただの装飾品ではなくて、 あたしという罪人を繋ぎとめている 美しい枷(カセ)のように思える。 たぶん、これがなかったらあたしは常務と一線を越えていた。 そうならなくてよかったと思っている。 でも反面、 これさえなければあたしは好きな人と思いを遂げられたのに、 とも思っている。 誕生日を迎えたあの日、 和也さんの申し出を安易に受け入れず断っていれば、 あたしは自由の身だったのに、と。 その時は考えもしなかったことを後悔している自分がいて。 あたしは最低で…… ズルイ女だ……。
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