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和也さんに対しても常務に対しても
あたしはなんて中途半端なんだろう。
ふとハートのネックレスをつまんでじっと見た。
このネックレスはただの装飾品ではなくて、
あたしという罪人を繋ぎとめている
美しい枷(カセ)のように思える。
たぶん、これがなかったらあたしは常務と一線を越えていた。
そうならなくてよかったと思っている。
でも反面、
これさえなければあたしは好きな人と思いを遂げられたのに、
とも思っている。
誕生日を迎えたあの日、
和也さんの申し出を安易に受け入れず断っていれば、
あたしは自由の身だったのに、と。
その時は考えもしなかったことを後悔している自分がいて。
あたしは最低で…… ズルイ女だ……。
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