第10話

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虚ろな気持ちで駅のロッカーから荷物をとり、 地下鉄に乗って家に帰り着いた。 「あ…」 そういえば、お弁当箱を常務室に置いてきてしまった。 どうしよう。 でも、今更とりに帰ることなどできない。  一つ、溜息をつき、 カバンをテーブルに置く。 携帯の先っぽがチカチカ点滅しているのに気づいたあたしは 徐に取り出し、開く。   送信者は…常務。 あたしは久々に彼からのメールを開いた。 そこには一言、 『待つから』 とあった。 それは、 あたしと常務だけがわかる、深い意味あいを持つ言葉で。 あたしは、思わず指先でその言葉をなぞった。
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