第10話

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どうしてあたしのこと、こんなに思ってくれるのかな。 「――…っ」 嬉しい気持ち半分、詫びる気持ち半分で涙がこぼれた。 きっと理屈じゃないんだ。 あたしだって、どうしてこんなに常務のことが好きなのか わからない。 ―――ピピピッ 新しいメールが届いて。 目に入った瞬間、ギクリとした。 送信相手は…和也さん。 『予定より早く終わった。 明日の夜帰るから、29日に会おう。 早く七海に会いたい』 和也さんは驚くほどあたしのことを思ってくれている。 それなのにあたしは……  ごくわずかな時間で和也さんより 常務を好きになってしまった。 和也さんを裏切ったという罪の意識から どうしても逃れられない。 「…っう、……ああ―――っ…」 そんなこんなで次に自分の頬を伝った涙は、 良心の呵責に苛まれて流れたものだった。
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