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どうしてあたしのこと、こんなに思ってくれるのかな。
「――…っ」
嬉しい気持ち半分、詫びる気持ち半分で涙がこぼれた。
きっと理屈じゃないんだ。
あたしだって、どうしてこんなに常務のことが好きなのか
わからない。
―――ピピピッ
新しいメールが届いて。
目に入った瞬間、ギクリとした。
送信相手は…和也さん。
『予定より早く終わった。
明日の夜帰るから、29日に会おう。
早く七海に会いたい』
和也さんは驚くほどあたしのことを思ってくれている。
それなのにあたしは……
ごくわずかな時間で和也さんより
常務を好きになってしまった。
和也さんを裏切ったという罪の意識から
どうしても逃れられない。
「…っう、……ああ―――っ…」
そんなこんなで次に自分の頬を伝った涙は、
良心の呵責に苛まれて流れたものだった。
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