第10話

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…と、いきなりそこに通じる扉が開いて。 ドビー織のワイシャツに紺のネクタイ、 黒に近いグレーのパンツ姿で常務が現れた。 扉の向こう側は私室なのだろうか。  スーツの上着はこの部屋には見当たらないから あちら側にあるのだろう。 「立ってないで、座れば?」 常務はワイングラスとワインを手にしている。 テーブルにそれを置くと、後戻りしてドアの扉をしめた。 「…はい、あのこのケーキ…は」 「今日、俺の誕生日」 「え?」 誕生日? じゃあ、常務は今日で24歳なんだ。 「そうなんですか。お誕生日、おめでとうございます」 でも、このケーキは普通のフルーツケーキで 誕生日用ではないけど…。
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