姫ノ住処

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姫ノ住処

「何故じゃ。何故此処を離れなければならぬのじゃ?」  姫はそう言って首を傾げた。 「妾(ワラワ)は此処が気に入っておる。もうずっとこうやって此処からの景色を眺めておるのじゃ」  そう言いながら見渡せる限りの景色に目をやる。  腰よりも長く伸びた美しい黒髪が、ハラリと背中から滑り落ちた。 「嫌なの?」  僕がそう尋ねると、姫はゆっくりとこちらを振り返り、淋しげに二度瞬きをした。
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