3人が本棚に入れています
本棚に追加
「うわぁ!なにこれ?」
最初に声を上げたのは和成だった。
弘人に言われて見に来た私たちは異様な光景を見ていた。
先程までは何も無い状態だったのに今では火が付いている状況。
炎の中には黒い大きな何かが入っていて…恐らくそれが着火源となっているのではないか。
それに近づくたびに異臭がきつくなっている。
「火がついていることには驚いているが空はどこだ?」
そう、私たちが探しているのは彼だ。
今は、火が付いていることよりも彼のことが大切なのだ。
「此処にはいないようだな...別の場所に行くぞ」
勇気に言われリビングを出ていこうとすると....。
「うわああああああああああ!空あああああああああああ!!」
突然賢治が叫び声をあげ尻餅を付いた。
「どうしたの?」
瞳が問いかけると震える指で炎を指差し、搾り出すような声で
「い、今、炎の中に人影が....」
―――――それだけで十分だった。
それだけで、私たちは解ってしまったのだ。
根拠はどこにもないが彼は何処にもいない。
何故なら、彼は今、炎の中にいるのだから....。
最初のコメントを投稿しよう!