3人が本棚に入れています
本棚に追加
「え?」
その場にいた全員が言葉を発した。
勿論私も。
「開かない・・・?」
若干暗い声で桜井和成が言う。
「開かないイコール閉じ込められたが普通な考えだろ?」
私が言った。
ついでに言うとさっきのは鍵を閉められた音だったんだ。
納得。
「はぁ?!」
皆は茫然と…声を揃えて言う。
現状を受け入れることのできない、という程の…間の抜けた声。
でもこれは現実。
「ねぇ?閉じ込められたって嘘でしょ?」
「嘘じゃない。開かないんだわかるだろ?」
私の肩をトントンと叩き輝が言う。
私の言葉を聞いて瞳が小刻みに震えながら・・・。
「はぁ?!閉じ込められたって・・・本当に幽霊がいるって言うの?!だいたい!此処に行きたいって言いだしたのは功太だよ!!」
名前を出された本人はビクッっと反応した。
「それはそうだけど・・・」
「功太が来るなんて言い出さなかったら!!」
「二人共黙れ。五月蝿い」
口論を始めようとしている二人を止めたのは私。
彼らはびくりと震え、俯いた。
私は小さな声で落ち着けと言う。
「そんなことしてる暇はないんだよ?出ることを考えよう」
私の一言でシンとなる。
「なぁ・・・幽霊っているのか・・・?」
震える声で賢治が私に聞く。
「何言ってんの?いるわけないでしょ?非現実的なんだよ」
私は本当のことを言う。
そう・・・幽霊なんていないのだ。
蝋燭がついたり扉が閉まってたり・・・ありえない。
そう誰かが私たちを驚かせようとしているだけ。
いるなら出てこいよ?
ぶっ潰してやるよ!
「ねぇ千代出口なんてあるの?」
「わかんないけど探すしかないしね」
私は、震えながら聞いてくる輝を撫でながら言った。
彼女は怖がりなのだから気をつけないとダメだな。
皆、いち早くここから出たいんだろうな・・・まぁ私もだけど。
さっさと出て犯人ぶっ潰す。
「窓からも出れそうにないけどどうするんですか?」
弘人が少し残念そうに聞く。
窓なら割ってでも出れるんじゃないかと考えるのだが無理だったらしい。
窓は不可能か・・・
するとパタパタと走りながら私に駆け寄ってくる勇気と功太だった。
最初のコメントを投稿しよう!