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それからは毎日、フェリスが交換日記をもってやってくるのが、わたしの唯一の楽しみとなった。
あいかわらず夕方になるとヨウコが来るが、わたしは居留守をつかった。
外を怖がる自分が嫌だった。
自己嫌悪で胸が苦しくなる。
そんなわたしは、スバルへの返事に偽名を使ってしまった。
『お返事ありがとうございます。
わたしの名前はミソノといいます。よろしくお願いします。
フェリスちゃんはとても賢い子ですね。
ウチにはココアというジャパニーズボブテイルがいます。
二匹はとても仲良くしてますよ。』
ミソノという偽の名前を書く時には、ちょっと文字が震えた。
昔観た映画のヒロインの名前だ。
うれしいはずの返事を書きながら、とてもみじめな気分になった。
それに車椅子に乗っている女の子では、スバルに嫌われると思ったのだ。
フェリスを呼び、首輪BOXに丁寧に返信の紙片を入れる。
みじめな顔をしていたのか、フェリスが『大丈夫?』と問いかけるように鳴いた。
「スバルさんに届けて」
お願いすると「にゃおん」と鳴いて、またフェリスはどこかに走り去っていった。
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