第1話「切ない猫の交換日記」-1

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そして庭を小走りにテクテクと駆けていった。 イタズラをしていつ相手が気付くかワクワクする、ちょっと可笑しな気持ちになってクスリと笑ってしまった。 ココアのエサを黒猫にあげてしまったので、父が買ってあった分のエサが無くなってしまった。 思い悩んだ末にわたしは、思い切ってドラッグストアにエサを買いに行くことに決めた。 ピンクのコートを羽織り、ちょっと早い冬の街に出た。 ドラッグストアへ続く道はせまく、車椅子のわたしは車が来ないことを祈りながら道を急いだ。 近所のおばさんが、車椅子のわたしをじっと見ている。哀れみの視線だろうか? 庭の椅子に座るおじいちゃんも、車椅子を進めるわたしを見ている。可哀想だと思っているのだろうか? やはり外は冷たく、恐いと思った。 やっとドラッグストアでエサを買い、夕方が迫っているので急いで家に戻る。 家に戻ってココアにエサをあげていると、玄関のドアが〈コンコン〉とノックされた。 「マミ、八坂マミさんはいますか?」玄関で声がする。クラスメートのヨウコだ。 わたしは怖くて、居留守をつかって出なかった。
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