第1話「切ない猫の交換日記」-1

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そんなわたしをココアは不思議そうな目で見た。 「にゃおん」 ピクンとココアが反応する。あの黒猫の鳴き声がしたのだ。 わたしは恐る恐るリビングの窓をひらく。 黒猫が庭のまんなかで長い尻尾をくねらせ、車椅子のわたしを見ている。 「猫ちゃん」 わたしが呼ぶと、黒猫はテクテクとこっちによってきた。 おうかがいをたてるように、チョコンとすわって首輪BOXを差しだした。 「なにかあるの?」 BOXのなかには、わたしが書いたノートが入っていた。 見ると、わたしのメッセージの裏に、 『すいません、フェリスがお世話になりました。ありがとう』 丁寧だけどちょっと丸みのある文字で書かれていた。 ちょっとちがうのは、丁寧にまんなかに整えて書かれていたことだ。 しめしめ、こちらが大人の女の人だと思って丁寧に書いたのだろう。 わたしはニンマリとした。
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