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そんなわたしをココアは不思議そうな目で見た。
「にゃおん」
ピクンとココアが反応する。あの黒猫の鳴き声がしたのだ。
わたしは恐る恐るリビングの窓をひらく。
黒猫が庭のまんなかで長い尻尾をくねらせ、車椅子のわたしを見ている。
「猫ちゃん」
わたしが呼ぶと、黒猫はテクテクとこっちによってきた。
おうかがいをたてるように、チョコンとすわって首輪BOXを差しだした。
「なにかあるの?」
BOXのなかには、わたしが書いたノートが入っていた。
見ると、わたしのメッセージの裏に、
『すいません、フェリスがお世話になりました。ありがとう』
丁寧だけどちょっと丸みのある文字で書かれていた。
ちょっとちがうのは、丁寧にまんなかに整えて書かれていたことだ。
しめしめ、こちらが大人の女の人だと思って丁寧に書いたのだろう。
わたしはニンマリとした。
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