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「あれ? まだツキから説明されてないのか? 」
ソウマが眉を上げながら尋ねる。リョウが頷くと、ソラが呆れ顔でツキを見た。
「ツキ、ちゃんと説明してやりなさいよ。あんたの仕分け人でしょ」
「わかってるよ!これから説明するつもりだったんだもん!」
ツキはぎくっとしながら弁解したが、ソラは疑い深そうに目を細めている。
そんな2匹をよそに、ソウマが優しい口調で説明を始めた。
「仕分け人っていうのは、誰かを殺し、殺された人間がなるものなんだ。自殺も含めてな」
「じゃあ、オレも……?」
「多分な。リョウも、死の瞬間の記憶はあるだろ?何が見えた?」
「えーと……大きくて白い建物と、空から落ちてきた雪。……それぐらい、かな」
横で倒れていた男性の事は、あえて言わなかった。それは、自分で考えなければいけないような気がしたからだ。
「んー。そんだけだったら、イマイチわかんないな。ま、霊に関わっていくうちに見つかるよ。気楽にいこうぜ!」
記憶さえ見つかれば、天に還れる……死神はそう言っていた。ならば、生前の記憶、犯した罪とやらを探すしかない。
「さぁて。そんじゃ、俺らも仕事に戻ろうか!」
すでに中天に達している太陽を見て、ソウマが元気よく声をあげる。
その時、ツキが思いついたように目を輝かせた。
「ねぇ、ソウマ。ツキとリョウ、しばらくソウマにくっついてていい? 未練切りの仕事、ツキが口で教えるより、見た方が早く覚えられると思うんだ」
「おぅ、いいよ! なぁ、ソラ?」
ソウマが快く答えたが、ソラは訝しげにツキを見つめて呟く。
「ツキ、説明するの面倒臭くなったんでしょ?」
「だって、一から説明するの大変なんだよ! ソラはいいじゃん! ずっとソウマについてるんだもん」
ツキが反撃したが、ソラは聞く耳を持たず、つんっと横を向いてしまった。
「まぁまぁ、ケンカすんなって」
ソウマは2匹をなだめると、リョウに笑顔を向ける。
「リョウ。俺たち仕分け人の役目は 、この世に留まる霊の未練を断ち切ること。で、その手段は2つ。 "未練切り" と "未練斬り" だ 」
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