序章:天歌<ソラウタ>

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動作の遅いマキは、数分かけてソウマのもとに到着し、穏やかに話しかけてきた。 「ソウくん……久しぶりぃ。相変わらず、ウザいほど元気がいいね……」 「マキこそ、相変わらず毒舌ひでぇな!にしても、久しぶりだよな。最後に会ったのいつだっけ?」 ソウマが頭をかきながら尋ねると、肩に乗っていたソラがひょこっと顔を出して呟いた。 「たしか、終戦の時じゃなかったかしら?えっと……なんか2回目の大きい戦争」 「そうそう、第二次世界大戦ね」 マキが夢見心地に、ぽぉっとしながら答えた。 「そんなに前だっけ? あん時は忙しかったなぁ。仕分け人は増えるわ、霊は溢れるわ。俺、一気に3人の霊を担当してた時期あったぞ」 「ソウくんは1人に時間かけすぎ……。ご丁寧に悩み相談してたらキリないもん。ガツンと言ったら、意外とあっさり納得しちゃうんだから……」 マキがとろんとした目で答えた時、ソラがマキの周辺を見渡しながら不思議そうに尋ねた。 「マキ、アメは一緒じゃないの?」 「それが、はぐれちゃったみたいなんだよね……。ソウくん、見掛けなかった……?」 「まーたはぐれちゃったのか。残念だけど、俺らは見てないな」 ソウマがそう答えた直後、突然マキの視線がソウマの背後を捉えて止まった。 「あら……?」 マキは首を傾げながら、目を瞬く。ソウマの背後の道の向こうから、黒いものが猛スピードで飛んでくるのが見えたからだ。 「ソウくん……ぶつかるかも……」 「へ?」 間の抜けた声を出した直後、何か固いものがソウマの頭に激突した。 「なんだ!?」 頭を押さえて振り返るソウマの目に飛びこんできたのは、懐かしい生物の姿。 その生物はイタズラが成功したことに興奮し、嬉しそうに声を上げた。 「ソウマ! 久しぶり!」 「うぉっ、ツキ!? うわー、久しぶり! 元気だったか?」 「ツキはいつも、すこぶる元気!」 空中で3回転し、ツキが元気よく言う。その直後、後ろから茶髪の男性が走ってきた。 「ツキ! いきなり飛んでいくなよ! びっくりするじゃ……」 ツキを追いかけてきた男性は、初めて見る仕分け人仲間に驚いて足を止めた。 ソラが男性に目をやり、不思議そうに尋ねる。 「ツキ、新しい仕分け人についたの?」
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