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「えっと…あの、僕をここに運んでくれたのは桜庭少佐ですか…?」
「いや、運んだのはキル伍長だ。まだ医務室の外にいると思うから、会いたいなら早く行ったほうが良いぞ。」
急に聞いたのに、桜庭少佐はすぐ答えてくれた。
もう一つのクッキー、誰に渡すのかすっかり見透かされているみたいだ。
「わ、わかりました…教えてくれてありがとうございます、桜庭少佐。それじゃあ…その…失礼します!ご、ごめんなさい!」
ニアは桜庭少佐にお礼と謝罪をした後、医務室を後にした。
そして外に出ると、廊下の窓から外を眺めているキル伍長の姿があった。
まわりには誰もいないし、話すチャンスだ…。
ニアはよし!っと小さな声でつぶやくと、いつものロボット歩きをしてキル伍長に近づき、声をかけた。
「あ、あの!キルさん!」
声をかけると、キル伍長はこちらに気づき、振り向いて口を開いた。
「起きたみたいだなニア、どうした?」
言葉をこぼしたキル伍長を見て、ニアはほんの少し照れた。
やっぱりキル伍長かっこいいな…。
男らしいし、優しいし。
なんだか、サトリに雰囲気が似ている気がする…。
「えっと…キルさんに渡したいものがあって…その…よ、よかったらこれ食べてください!」
年があまり離れていないせいか、さっきよりもうまく言うことができた。
ニアがクッキーを渡すと、キル伍長は渡されたクッキーを見て、ニアの頭を軽くなでながら口を開いた。
「俺にくれるのか?ありがとうな、ニア。」
なでられると思っていなかったニアは、顔を赤くしてキル伍長から少し離れて言葉をこぼした。
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