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ホワイトデー当日、ニアはいつもより早起きをして、自室の鏡の前に立っていた。
「あ、あの!こ、これ、受け取って…くだ…さい!…はぁ、だめだ…うまく言葉がでないよお…。」
ニアは、本人たちに渡す前に、まずは鏡相手に練習をしようと心みていた。
しかしなかなかうまくいかず、ついには諦め、不安なままクッキーを持って自室を飛び出してしまったのだ。
「どうしよ…もし会っちゃったらなんていえばいいんだろ…うぅ…。」
ニアがキョロキョロあたりを見渡しながら歩いていると、突然足元から音がしたのだ。
おそるおそる下を見ると、そこにはカメムシがおり、自分の靴に張り付こうと羽を半分開きかけていた。
「うぅ…あ、ぎゃああああああ虫ーっ!」
ニアが虫から逃げると、どういうわけかそのカメムシは、逃げるニアをおいかけるように飛んできたのだ。
そしてニアの腕にとまると、少しずつクッキーの方に近づいていく。
それに気づいたニアは、腕をぶんぶんと振るが、一向にカメムシは離れない。
「だ、だめだよ!このクッキーは桜庭さん達に渡す分なの!君になんかにあげないもん!うぅ。」
ニアが腕をぶんぶんと振りながら走っていると、前から桜庭少佐とキル伍長が歩いてきていた。
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