ニアの場合

2/8
前へ
/33ページ
次へ
ホワイトデー当日、ニアはいつもより早起きをして、自室の鏡の前に立っていた。 「あ、あの!こ、これ、受け取って…くだ…さい!…はぁ、だめだ…うまく言葉がでないよお…。」 ニアは、本人たちに渡す前に、まずは鏡相手に練習をしようと心みていた。 しかしなかなかうまくいかず、ついには諦め、不安なままクッキーを持って自室を飛び出してしまったのだ。 「どうしよ…もし会っちゃったらなんていえばいいんだろ…うぅ…。」 ニアがキョロキョロあたりを見渡しながら歩いていると、突然足元から音がしたのだ。 おそるおそる下を見ると、そこにはカメムシがおり、自分の靴に張り付こうと羽を半分開きかけていた。 「うぅ…あ、ぎゃああああああ虫ーっ!」 ニアが虫から逃げると、どういうわけかそのカメムシは、逃げるニアをおいかけるように飛んできたのだ。 そしてニアの腕にとまると、少しずつクッキーの方に近づいていく。 それに気づいたニアは、腕をぶんぶんと振るが、一向にカメムシは離れない。 「だ、だめだよ!このクッキーは桜庭さん達に渡す分なの!君になんかにあげないもん!うぅ。」 ニアが腕をぶんぶんと振りながら走っていると、前から桜庭少佐とキル伍長が歩いてきていた。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加