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「ど、どうしよう…、渡さなきゃ…でもカメムシが…うう、あ…。」
手に持っているクッキーを軽く握りしめながら、ニアは考えた。
カメムシが腕に張り付いているのに、このままクッキーを渡すなんてことはできない。
でも今渡さなかったら、きっともう渡せない。
ニアが必死に考えていると、ついにカメムシがニアの手の甲に張り付いてしまい、満足そうに触覚をぴこぴこと動かしていた。
それを見てしまったニアは、頭が真っ白になってしまい、そのままふらふらと膝を落としてその場に倒れた。
倒れた勢いにカメムシは驚いたのか、ニアの手から離れ飛んでいった。
意識を失う前に、近くで誰かの足音が聞こえたような気がした。
それから少し時間が経ってニアが目を覚ますと、そこは医務室。
自分の体の上には白い布団が掛けられていて、頭にはひえピタが貼られていた。
どうやら倒れた自分を、誰かが運んでくれたらしい。
ニアがお礼を言おうと起き上がって周りを見渡すと、すぐ横の椅子に桜庭少佐が座っていた。
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