ニアの場合

4/8
前へ
/33ページ
次へ
「あ、桜庭少佐…さん。」 「気が付いたみたいだな、具合はどうだ?」 そう聞いてくれた桜庭少佐は、なんだかすごくかっこよくて、大人の男性という感じだった。 まさしくニアが毎日と言えるほど憧れている、男の人だった。 「だ、大丈夫です…ちょっとふらついただけです…あ、あの!」 渡すなら今しかない! そう感じたニアが懐からクッキーを出そうとしたが、ある事に気づいた。 クッキーがないのだ。 倒れる前まではちゃんと手に持っていたのに。 ニアが焦ってクッキーを探していると、それを見ていた桜庭少佐が口を開いた。 「なにか探しているみたいだが、探し物はあれじゃないのか?」 そう言って桜庭少佐が指さした先には机があり、その上にラッピングされたクッキーが二つ乗っていた。 それに気づいたニアはベッドから降りて、机の上にあるクッキーを手に取り、割れてないかよく確認した。 「よかった…無事みたいだ…よし!」 そしてニアは確認し終わると、座っている桜庭少佐の方に振り返って、ロボットのように歩き、なんとか桜庭少佐の前までたどり着くことができた。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加