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「あの子だよ。水曜日と…金曜日以外は いつも手伝ってるんだ…」 遠くから見ている視線の先は、 小さな花屋。 『パル・フルール』と書かれた木製の看板がかわいらしかった。 心美が好きそうだな…。 このかわいらしい雰囲気は…。 7つ下の妹は、11歳。 息子の俺から見てもかっこいいと思う父親なんだから 絶対にファザコンになってもおかしくないと思っていたら、 あんまりにも仕事人間だったため、 心美は母親か俺にべったり。 小学校の運動会で、 父母競技に参加させられるのが ほとんど心美のリクエストで俺だ。 ぼんやりと妹の事を考えていたら、 小さな花束を作った女の子が お客さんに手渡している姿が見えた。 「オイ…あの子だよ。」 真太郎に肘で突っつかれたが、 あの子以外にはガタイの良いおっさんしかいないからわかるって。
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