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「どうだった?」 親父の脱ぎかけの上着を預かりながら お袋が親父に声をかけていた。 何か言われると思い、 どうにでもなれ!と、開き直ってソファーに 不機嫌なまま座ると 「車の免許取りに行きたいから、 出世払いでお金貸して…ってさ。 どうする?」 親父はお袋の聞きたい内容なんて わかっているはずなのに、 とんちんかんな返事で誤魔化してくれた。 何か…すごく嬉しかった。 血が通ってるのか?とさえ言われる会社での評価を 聞きながら育ってしまったせいか、 我が父ながら良くわからない…と思って育ってきた。 この瞬間に親父のすべてを承知したようなくらい 親父の性格も…気持ちも…自分の中に落ちるものが有った。
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