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「バイト…頑張って探してね♪」 お袋は楽しい事でも話す時みたいに 軽やかに宣告した。 期待してたが…何かがっくりだ。 部屋を移動し、何かを探してから再度出てきたお袋は 手に小さな通帳を持っていた。 何やら印鑑も…持ってる。 「コレ…小さい頃からのお年玉。 好きに使いなさい。」 俺名義の通帳。 特有のカバーから取り出すと、 びっくりするくらいの金額が記入されていた。 「おじーちゃんに感謝しなさいよ。 あんたのお年玉の人脈…ほとんどがおじいちゃんのお友達なんだから…」 すっかり使い込まれていたと思っていた長年のお年玉が こんな風に手元に戻ってくると嬉しいもので、 「ありがとーおかーさん!」 子どもの頃のようにお袋に礼を伝えた。 目を細めて俺を見つめていた二人は、 嬉しそうに寄り添っていた。
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