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気だるそうにジーパンのポケットに手を軽く入れて、 手は振らなかった。 『プシューっ』と特有の音を立てて、 電車の扉が閉まった。 真太郎はドアに縋りながら 俺に目一杯手を振ってくれていた。 その姿に、必死で堪えていた涙が目に浮かぶ。 照れも…恥も…外聞も… もうそんなのどうでもいいから… ポケットに入れかけていた手を抜いて 走り出した電車、涙まみれの真太郎に手を振った。 最後は真太郎の姿なんて全然わかんないのに 走り去る電車に向かって… それでも手を振った。
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