3009人が本棚に入れています
本棚に追加
「さて…帰るか…」
残されたホームで若干恥ずかしさが心の中を侵食し始め
俯きがちに歩く。
ポケットに入れっぱなしだった入場券を取り出す。
気だるそうに歩く姿が一段とじーちゃんに似てきたと
咲おばちゃんに苦い顔をされた数日前、
おばちゃんは、俺に
「好きに…自分の好きな道を選びなさい。」と言ってくれた。
それは自分が好きな産科の仕事をしてきたからだろう。
そう思ったら、
「ひいじーちゃんが…私に、
今の優人と同じ頃…かけてくれた言葉…
多分…おじいちゃんも同じこと言われた。
優人は…ここの病院とかそんな事は気にしないで、
これから学ぶ中で、一番自分らしくいられる仕事を選びなさい。」
長年生きてきた咲おばちゃんの言葉は
時々胸にしみる。
最初のコメントを投稿しよう!