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「何だったの?さっき。 俺、呼ばれた気がするけど…」 お茶用のお菓子を取ろうと 立ち上がりながら問いかける。 「あっ!」 忘れっぽくなったお袋を 木崎のおじちゃんは嬉しそうに笑ってる。 あの嬉しがり方は、若干の悪意がこもってる。 俺ばかりを馬鹿にするから…みたいな雰囲気。 でも木崎のおじちゃんは、 本当に忘れている訳じゃない。 『忘れたふり』が8割だ。 「あんた『決めた相手』なんて言っちゃって ぶーちゃんは承知してるの?」 こんなに筒抜けって…ちょっとヤダ。 不機嫌になってガサツに煎餅を取り出すと、 隆ちゃんが嬉しそう。 木崎のおじちゃんと隆ちゃんは本当に似てきたと思う。 親子って言っても良いと思う。 人の良い柴崎のおじちゃんのDNAが入ってるなんて 絶対に思えない。
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