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「何かさ…こうやって一緒に帰ってて…楽しい?」 楽しいと感じてない事に気づき、 苦痛にも思えるようになった頃 そう問いかけた。 その女の子は 顔を紅潮させて、大きな瞳には涙をいっぱい溜めて、 コクコクと肯定するかのように首を縦に振ってたけど 「俺は…全然楽しくない。」 そう言い切った。 温厚そうに見える祖父に似た外見の俺だけど、 性格も…割と温厚だとは思うが、 冷静な父親に似た一面が、 時折表に出てしまう。 「上手く言えないけど… もうこうやって一緒に帰ったりするのはムリ。 キミなら…他にも良い奴いると思うから… ゴメン。」 その一言を受け止めた彼女は、 涙をいくつも流し、 俺の顔を見つめてた。
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