4人が本棚に入れています
本棚に追加
(あ……愛!?)
2年前に病気で亡くなった愛にそっくりだった。
「いらっしゃ…あっ!まいちゃん!!今日も来てくれたの?」
「はい!」
「いつものでいいよね?」
「ええ!」
(どっからどう見ても愛に見える。……ちょっと少し俺よりも年上な感じ……。)
俺はその愛にそっくりな女性を目で追っていた。その女性は入口近くの4人席の窓際に座った。
「マ……マスター!あの女性(ひと)なんて名前?」
俺は思わず、マスターに聞いた。
俺はあの女性が愛かどうか知りたかったからだ。
「あの娘は青江舞(あおえまい)ちゃん!!可愛いだろ?最近よくうちに来るんだよ!」
マスターは自慢気にホットコーヒーとホットミルクを作りながら俺に教えてくれた。
……愛ではなかった。愛じゃない事はわかっていた。けど、あんなにそっくりだと、愛じゃないかと、疑ってしまうくらいそっくりだった。
俺は愛じゃないとわかり、気を落とした。
「高岡くん?どうしたの?マスターにあの女性の名前聞いて?」
「いや……知り合いに似ていたから…。」
「そうなんだ。」
俺はとくちゃんに本当の事を話さなかった。ただ、とくちゃんに知り合いに似ていると言ったのは俺はまだ愛がこの世にいない事を認めたくなかった。あの時の愛の手紙はずっと手元に置いてあった。
「はい!どうぞ!!」
「ありがとうございます!」
マスターが注文していたホットコーヒーとホットミルクを持ってきてくれた。
「美味しい!」
とくちゃんはとても喜んでいた。
俺ととくちゃんは注文した物を飲んで、喫茶店を出た。
喫茶店で俺はとくちゃんと色々話したが、あの女性が来てから、気になりとくちゃんとの話しも何を話していたか覚えていなかった。俺はもっとあの女性のことを聞きたかった。けど、とくちゃんがいるので聞けなかった。
「窓際にいた女の人、可愛いかったよね?」
「そっか?ふ……普通だよ!」
「そうだよね~。高岡くんには可愛いりさこちゃんがいるからね~」
「うっうるさい!」
俺ととくちゃんは冗談を交えながら、話していた。
すると、最寄り駅に着いた。
「じゃあ、あたし帰るね。」
「ああ!また明日」
とくちゃんは駅のエスカレーターに乗ろうとした時
「とくちゃん!!」
「ん?」
「あ……明日また喫茶店行こう?」
っととくちゃんにまたあの喫茶店に行こうと誘った。
「明日は無理。明後日ならいいよ!」
「じゃ~明後日!」
「うん!わかった。」
とくちゃんはエスカレーターに乗って帰った。
本当は1人で行くつもりだったがとくちゃんと行きたかった。
とくちゃんと行ったら、青江舞さんに会えるかもしれないと思ったからだ。
最初のコメントを投稿しよう!