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「私は王宮にて騎士をやっております」
三つ指をついたまま男は言う。
「……で、その騎士様がなぜここへ?」
王宮の騎士?
王宮の者だったら大概は知っている。
でもこの男は知らない。
あたしは男をジロジロと見る。
「大魔法使いの子孫である芽衣様に折り入ってお願いがあり参りました」
顔を上げ男は言う。
あたしはその顔を思わず凝視する。
髪の色と同じコーヒー色の綺麗な茶色く鋭い瞳、すっと通った鼻筋……。
凛とした顔つきは中々のイケメンだ。
「大魔法使いの子孫?
あたしにはそんな能力はないわ」
男の美しい顔にドキドキしながらあたしは話をする。
「貴女は気付いてないだけです。
貴方には絶大な魔力が生まれながらに備わってるんです」
あたし自身魔法とは無縁だと思ってたが、男には確信があるのだろう。
「素敵な設定ね」
こんな無茶苦茶な話。
きっと夢に違いない。
夢だからこういう設定になってるんだ。
「そこでお願いがありまして……」
男はあたしから視線をそらさずに話す。
「まぁ、あたしで力になれる事があれば協力するわ」
これは夢。
でもこの男を助けたい。
何処の馬の骨……あぁ、王宮に使える騎士って言ってたわね。
ともかく、見ず知らずの男でも何故か協力したいって思ったのよね。
「実は……」
男はあたしの反応を見て話だす。
あれ?
あれれ?
目の前が真っ暗に……。
あたしの記憶が薄れて行く……。
あぁ……。
肝心なとこが……。
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