第16話 泉希沙良編①

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◇ 「俺、ラッキーチャンスやってみた」  喉を通過中だったオレンジジュースが逆流してきて、ウチは思わずストローを吹き出した。  ゲホゴホと咳き込むウチに、隣に座っている悠理(ゆうり)が紙ナプキンを差し出してくれた。  1枚で鼻をかみ、1枚で唇を拭き、もう1枚に目尻に浮かんだ涙を吸い取らせると、呆れ顔のハルクに向き直った。 「あんた、勝手に何をバカなことしてんの!? ラッキーチャンスがどんだけ危険か、もう予想ついとるやろ!?」 「お前、なんで小田切さんにはキレんと俺にはキレるんや」 「小田切さんは特別や、あの人は仕事やからやってんやろ。あんたとは違う」 「命の危険があるかもしれへんのに?」  ウチはグッと声を詰まらせたあと、手元のオレンジジュースのパックを見下ろした。 「そうや」
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