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◇
「俺、ラッキーチャンスやってみた」
喉を通過中だったオレンジジュースが逆流してきて、ウチは思わずストローを吹き出した。
ゲホゴホと咳き込むウチに、隣に座っている悠理(ゆうり)が紙ナプキンを差し出してくれた。
1枚で鼻をかみ、1枚で唇を拭き、もう1枚に目尻に浮かんだ涙を吸い取らせると、呆れ顔のハルクに向き直った。
「あんた、勝手に何をバカなことしてんの!? ラッキーチャンスがどんだけ危険か、もう予想ついとるやろ!?」
「お前、なんで小田切さんにはキレんと俺にはキレるんや」
「小田切さんは特別や、あの人は仕事やからやってんやろ。あんたとは違う」
「命の危険があるかもしれへんのに?」
ウチはグッと声を詰まらせたあと、手元のオレンジジュースのパックを見下ろした。
「そうや」
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