すれ違いの僕と君

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***  眩しいくらいの青空に新緑の色がやけに鮮やかで、口を開けたまま目を細めずにはいられなかった。 「ノリとこの空を一緒に見たときは、まだ桜が咲いていたっていうのにな。時間が経つのって、スゲー早い……」  なのにひとりでいる時間が、思った以上に長く感じてしまうんだ。 『桜ってさ、花の一つ一つはこんなに小さいのに、一斉に咲くとすごく迫力があるよね』  お昼休みに、桜が見られる中庭のベンチを早々とゲットした。ノリとふたりきりで花見をすべく、一緒に昼飯を食べる。時折ふわりと舞い散る優しいピンク色の花びらが、とても儚げに見えた。    すぐに消えてしまう大好きなノリのうっすら笑いと比例するじゃんと内心考えたら、次の瞬間には俺の頭の中に違う花が現れた。これを話題にしてノリを笑わせてやろうと、嬉々として喋りかけた。 「桜に限らず花が集団で咲いてたら、勝手に迫力があるだろ。ひまわりなんて、脅威に感じるレベルじゃね?」  当たり前のことを言った俺に、呆れた視線でじろりと見るノリ。その目の白いことこの上ない。 『吉川にかかれば、桜とひまわりは同じ扱いなのか。まったく……情緒が一気に崩されていく』
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