「出発」

3/5
前へ
/365ページ
次へ
下へ降りる二人。 「二人ともおはよう!」 野太い声で黎子の父が挨拶をする。 「おはようございます」 「おはよっす…ファー…」 まだ眠たそうな弥彦。 「…少年、名前は?」 「弥彦…ファァ…です」 まだ眠気が覚めていない弥彦。 「弥彦よ…たるんどるぞ!」 突然一喝する黎子の父。 「ヒッ!」 「早く顔を洗ってこい!」 「わ、分かりましたー!」 ダッシュで洗面所へ向かう弥彦。 「おはよう、秀悟。予想はしてたが、やっぱりこうなったか」 黎子はクスリと笑う。 「おはよ…なんか怒られていたが…」 「父は朝に厳しいんだよ」 「だから弥彦は怒られていたのか…」 なるほどって顔で弥彦が頷く。 「あいつは、ほぼ毎日遅刻してきてたからな。辛いっちゃ辛いよな…今朝も何やら怪しい夢を見てたみたいだし」 「え?怪しい夢ってどんな夢なんだい?」 真顔で黎子が尋ねる。 「あ、いや…想像にお任せするよ」 秀悟は適当に返した。
/365ページ

最初のコメントを投稿しよう!

107人が本棚に入れています
本棚に追加