「出発」

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「さて、朝食だよ」 春菜が朝食をテーブルに運んでくる。 「お!美味そう!」 弥彦が一番乗りで席につく。 「これ、春菜が作ったのか?」 秀悟が訪ねる。 「私と、黎子、華江で作ったの♪」 テーブルにはみそ汁、焼鮭、熱々のご飯に、焼海苔、ほうれん草のおひたしが置いてあった。 「豪華だな・・・」 感心しながら秀悟も席につく。 「冷蔵庫にあったものをフル活用しただけだけどな…さ、食べようか」 こうして全員が席につく。 「みな、席についたようだな。今日は住宅街周辺を探索しようと思う。もし、自分の家族や友人が奴らになっていたら・・・楽にすることだ」 黎子の父が呟く。 「だからこそ、生きなければならない・・・散っていった者達のためにな。そして、生きる為に食事はしなければならない。いや、こういう時だからこそだ。みな、いただこう。今日を生きる為に。いただきます」 「いただきまーす!」 この一言が命の重さをなんとなく教えている。 秀悟は頭の中でそう思いながら、食事を口に運んでいた。
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