「迅雷」

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「ふぅ…とんでもないところだった」 6人は水田を抜けて住宅街南の入口へ来ていた。 「右は事故車で塞がってる…父さん、奴等が少しいますが、左から行きましょう」 黎子が曲がり角を確認する。 「…うむ」 父が呟く。 6人が左へ曲がる。 「アァァァ…」 奴等がこちらへ向かってくる。 とはいっても3体くらいだ。 「邪魔だ」 黎子が薙刀で切り伏せていると。数百メートル先に何やらゾンビが集まっている。 「…なんだ?」 様子を見ていると。 「ガシャン!!」 建物の窓が開いて、何やらビンが投げられている。 「いつまでも居座るな!くどいぞ!」 窓から一人の男が叫んでいる。 「これでも、くれてやる!」 窓からライターを投げる。 ライターが先ほど投げた液体に触れた瞬間。 「ヴォォォ…」 瞬く間に周囲のゾンビが火だるまになる。 「…とはいえ、これが最後のガソリン。入口のバリゲードも…」 ゾンビが窓や玄関口を叩いている。 丈夫な板で封鎖されているが今にも壊れそうである。 「…生存者だ!みな!ゆくぞ!」 黎子の父が日本刀を抜刀しゾンビへ向かう。 「おーい!こっちだ!!」 あえて大声でゾンビの注意を向ける。 「やるしかない…よね」 秀悟は日本刀をゆっくりと抜いた。
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