「迅雷」

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「そんな…」 「まさか、排水溝に落ちてるとは。しかも、格子で固定されてるとこに…とにかく今は、そのドライバーを持ってこないと」 智也が呟く。 そこに、汗をかいた黎子の父と、黎子、春菜、秀悟が合流する。 「だいたい片付いた…」 黎子が汗を額のぬぐう。 「それで…カギがあったと…」 黎子の父が尋ねる。 「この親父さん、どこまで地獄耳なんだよ…」 弥彦はぼそりと呟いた。 「こら!失礼でしょ!」 春菜が腹パンを喰らわす。 「ゲフッ…」 一撃でダウンする弥彦。 「だがこの通り格子の中にあって、しかもこれは特殊な専用ドライバーでないと外れない代物なんだ。だから、ここのカギを入手するためには一度会社へ戻らないとならない」 「だけど、全員が残るのは…」 秀悟が考える。 「だったら、俺がいこう」 黎子の父が手をあげる。 「俺も行く。万が一のために」 秀悟が手をあげる。 「じ、じゃあ…私だって行くわ」 そっと手をあげる春菜。 「では…残りはここを確保だな。あらかたゾンビは片付いたとは思うが、奴等は進出鬼没だ。油断するなよ。それと…」 黎子の父が黎子の方へ振り向く。 「みんなを頼んだぞ」 肩をポンと叩く。 「はい。父さん」 黎子の顔には笑みが溢れていた。 「じゃ、俺と黎子、華江はここを確保しとくから頼んだぞ!」 弥彦が叫ぶ。 「任せろ。弥彦こそ黎子と華江を頼んだぞ」 秀悟が叫ぶ。 「おう!日本男児の意地にかけて守ってやるぜ!」 そう言うとサーベルを空に掲げるが誰一人として弥彦を見ていなかったのはここだけの話である。
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