107人が本棚に入れています
本棚に追加
「ウオオオオオオ!」
怪物が両手を振り上げ、地面に叩き付ける。
「ズーン…」
土煙と共に激しい振動が秀悟達を襲う。
「うお!」
離れているが、まるで地震のような衝撃が一同を襲う。
「こんなやつ相手にしてられないわ。みんな、逃げましょ」
春菜が逃げることを提案するが。
「ダメだ。石段へ続く道はさっきの投げた車で通れない」
秀悟の視線の先には真っ赤に燃えている車が道路を塞いでいた。
「じゃあ、どうすれば」
春菜がおろおろする。
「抜け道はある。俺の会社のガレージの裏口から隣家の庭に出られたはず。ただ…裏口は普段施錠していて、鍵が二階にあるんだ」
「それが何か問題でも…」
秀悟が尋ねる。
「あの怪物、さっき車を投げてきただろ?もし、会社の方に投げられたら…」
「全員死ぬってことか…」
秀悟が呟く。
「…なら、俺が囮をやろう。俺一人で大丈夫だ」
黎子の父が呟く。
「けど、あんな怪物一人じゃ」
「誰かが為さねば、何も成らぬ。それにお前らは若い。俺の武器も見事に使いこなしている。社長は今後も必要な人材だ。と、なると残るのは俺が適任だろう」
黎子の父はまっすぐ怪物を見ながら呟く。
「…分かりました。無茶はしないでください。鍵を開けたら叫ぶのでガレージへ」
「うむ…ではそちらは任せた。いざ…参る!!」
そう言うと鎖鎌を振り回し怪物へ向かっていった。
「急ごう」
智也と秀悟、春菜は二階へ向かう。
最初のコメントを投稿しよう!