「脅威」

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「え?」 華江がキョトンとした顔をする。 「社長。一体どうして?」 黎子が尋ねる。 「…これを見てくれ」 すると、智也はゾンビの近くにあった何かを拾う。 「…入れ歯?」 弥彦がキョトンとする。 「そういうことか!!」 秀悟が何かが分かったかのよう叫ぶ。  「え?どういうことだよ?」 弥彦が尋ねる。 「仮定だけど、噛まれたことによって歯からウイルスが注入されてゾンビになるわけ。だけど入れ歯ならどうだ?ただの入れ歯ならその心配はない。それに、このゾンビ歯がない」 確かに弥彦が倒したゾンビには歯が1本もなかった。 「そうか!!それなら確かに…」 黎子も頷く。 「おお!なるほど!そういや、バスの中では外川とかは噛まれてすぐにゾンビになったけど、華江はまだピンピンしてる…つーことは…」 弥彦が安堵の表情を見せる。 「わたし…助かったんですね」 涙を浮かべているが華江は人一倍笑っていた。 「よかった…」 春菜がぎゅっと抱きつく。 「ちょ、春菜さん…苦しいれす…」 キャッキャッしてる二人をよそに、智也は持ってきたドライバーを手に取り。 「さて、ボルトをはずそうか」 排水溝の格子を固定してるボルトを外す作業に取りかかった。
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