「脅威」

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「…ここをこうして…よし!」 ボルトが外れ、格子を開ける。 「おおっ!」 「だけど、手が届かないな」 黎子が呟く。 カギは手を伸ばしてもとても届きそうにない。 「…いい考えがあります」 華江が鞄からメガネケースを取り出す。 「メガネケース?」 弥彦が不思議そうな顔をする。 「このメガネケースは磁石で開閉するタイプなんです…これを紐で吊るして、カギを取れないかなって」 「なるほど!!紐ならある。そのメガネケースを貸してくれ」 華江は頷き、智也にメガネケースを渡す。 「こうして…よっと!」 紐を結んだメガネケースを排水溝へゆっくりと落としていく。 すると、排水溝へ落ちていたカギがくっつく。 「あ!」 春菜が驚いた顔をする。 智也は紐を手繰り寄せ、無事にカギを回収する。 「…よし。カギは取れた」 こうして無事に車のカギを回収できた。 「!…そういえば、社長。さっきから父さんの姿を見ないが…」 思い出したかのように黎子がふと呟く。
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