「監獄」

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時はさかのぼり 5月19日 午後10時 住宅街民家の一室 部屋には3人の学生が閉じ籠っていた。 「くそっ!あいつらなんなんだよ!」 矢崎が壁を叩きつける。 「木場山も、大川も…みんな奴等に食われて…奴等になっちまった…」 「矢崎…落ち着けよ…きっと、司馬さんが助けに来てくれる」 吉川龍治。司馬のグループの一員。 見た目は不良くさいが、どこか頼り無さそうな雰囲気を醸し出している。 「馬鹿言うな吉川…あいつは…あいつは孤高の男だ。他人のことなんざ構うような男じゃねぇ…」 「けど…」 「いや、矢崎の言うことは合ってるよ。あいつは、誰にも縛られない。なんたって、私の告白すら蹴った男だ」 制服から谷間が覗く。桐谷七海。 3年生でも、大津春菜、嵐川黎子と同等の人気を誇る美貌をもつが、隣町では援交や危ない人と関わってるなど黒い噂が絶えない美女だった。 「…」 吉川はしょんげりしてた。 「ま、俺らでもなんとかなるって!」 吉川の肩を叩く。 すると、玄関の扉が開く。 「矢崎君!交代の時間です…」 眼鏡をかけた男が双眼鏡を持って入ってくる。 「どうだった?天才さんよ…」 矢崎が尋ねる。 「ゾンビはそれなりにいるけど、僕らには気がついていない…このまま日が沈むのを待った方がいいかもしれない」 宮腰優太郎。クラスでは一番の成績を誇る秀才。 「なるほどな…じゃ、行ってくるか」 矢崎は双眼鏡を手に取ると、玄関へ出ていった。
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