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「ん、ここはどこだ」
矢崎が眠りから覚めると、目の前には鉄格子、冷たい石造りの床が見えた。
「…確かあれから眠気が襲って動けなくなった…そして、このざまかよ」
手には錆びてはいるが手錠がしてあった。
「くそっ…あのガスマスク野郎の仕業だな」
フラフラとしながらも立ち上がる矢崎。
すると、近くに誰か寝転んでいる。
「…吉川!!」
寝転んでいる吉川に蹴りを入れて叩き起こす。
「ん…もう朝なのかぁ…」
寝ぼけながら起き上がる吉川。
「寝ぼけとる場合か!!」
怒鳴る矢崎。
「や、矢崎さん!!…にしてもここは一体」
吉川が周りをキョロキョロする。
「俺に言われてもわかんねぇよ」
「ですよね…ハァ…。俺達このまま死んでしまうんですかね」
ネガティブになる吉川。
「バカ野郎!もう死ぬこと考えてんのか!どうにかしようぜ」
「そ、そうですよね。…って、宮腰と桐谷さんが見たらないですね…」
確かに牢獄には二人の姿が見当たらなかった。
「…そういやそうだ…別の場所に閉じ込められているか、既にガスマスク野郎の餌食か…二人でさっきの続きをしてるかだな」
笑いながら呟く矢崎。
「さ、さぁ、どうなんでしょうかね…」
「とりあえず、この手錠をどうにかする。そして、天才とビッチを探す。異論はないな?」
矢崎は手錠を見せる。
「は、はい!」
この状況下、頼れるのは矢崎だけ。
吉川はそう確信していた。
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