「監獄」

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「さ、僕のことを話したとこだし…実験の続きと行こうか!」 そう言うと、何故か置いているオーディオの電源を入れる。 すると、激しいロック調の音楽が流れる。 「…このバンドは知らないかな?ま、知るよしもないよね。僕がまだ10代だった頃に1度だけ世間を震撼させた伝説のロックバンド「Killing Angels」の曲さ。ま、メンバー全員が不祥事をして逮捕されたんだけどね」 そんなこと言いながら実験機材の準備をする。 「ね、な…何するのよ?」 「なに、実験だよ…♪よし…これでいい。数十分後には効果がでるかもしれない。あ、そうそう。最後に君のお友達の一人の姿を見てもらうかな」 すると、目の前のモニターに電源が入り、何やらヘルメットを被った上半身裸の男が映っている。 「腰パンせずにしっかりとしてる…宮腰!?宮腰なの!?」 思わず叫ぶ七海。 「ほほう、宮腰君と言うのか。彼は実にいいモルモットだったよ。僕の理想とする遺伝子配列をもっていたのだからね…おや、そろそろかな」 モニターに映っている、宮腰の姿が徐々に変化している。 右手からは爪が生え、皮膚は岩の如く茶色に硬化していく。 「な、なによ…これは?」 「僕の究極の発明。アヌビスの改良タイプだよ。ただのアヌビスだと、君らが見てきたようにゾンビにしかならない。だが、この改良アヌビスは…もはや、世界で僕しか作れない!!人の遺伝子に応じて進化を促し圧倒的な力を手にする…そして、日本、いや、世界を手中に治めるのさ!!カグツチにはできなかったことを僕は、僕は成し遂げたんだよ!!フハハハハハハ!!」高笑いをする白衣の男。 「狂ってる…」 ぼそりと呟く。 「なんとでも言うといい。君も同じ運命を辿るんだから…」 「え…」 自分にも同じウィルスが入っている。告げられた七海の顔は絶望に満ちていた。 
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