「監獄」

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二人が階段を上った先は、ビーカーや培養装置が並ぶ研究室だった。 「不気味なとこだぜ。どんな趣味してんだよ…」 矢崎が呟く。 培養装置の中には何かの細胞片や元がよく分からない生物が保存してあった。 「ここって研究施設か何かじゃないんですか?だってこれ…」 吉川が培養装置の横にあるシールを見る。 「これって生物災害…バイオハザードマークだ…」 矢崎がゾッとした顔で見る。 「まさか、生物兵器なのか?だとしたら俺らはとんでもないものを見てしまった…」 矢崎が呟く。 「じ、じゃあここは政府の秘密組織で俺らは政府の画策で捕らえられて実験体に…あわわわ…」 怯える吉川。 「ゴダゴダしてる暇はない…ここから出よう」 矢崎は入口のスイッチを押す。 機械音を響かせ扉が開く。すると、手術室にたどり着く。 中央には手術台があり、そこには誰かが横にされていた。 「!!…桐谷!!」 矢崎が駆け寄る。 「はははは…や、矢崎…生きてたんだな…」 かすれかすれの声で呟く七海。 「今、助けてやる!鍵は…鍵はどこに!?」 矢崎が鍵を探すが見当たらない。 「無駄よ…あいつは…ひ、人じゃない…鍵なんてない…」 「うっせ!!黙ってろ!」 力づくで手錠を外そうとするが、外れない。 外そうとしていると、スピーカーから声が響く。 「やぁモルモット諸君。まさか、あそこから脱出するとはね…ほめてあげよう」 低い声が手術室に響き渡る。 「てめぇ、ガスマスク野郎か!!どこにいる!!出てこいよ!!」 矢崎が挑発する。 「そんな、挑発には乗らんよ。そんなことより、そこの女の言う通り。そこの手錠は僕にしか外せない」 「じ…じゃあ、桐谷さんは…」 矢崎が弱腰になる。 「まもなく、分かる。私の実験の結果を披露しよう」 別室で白衣の男は何かのスイッチを押した。
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