「監獄」

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スイッチを押すと、くぼみになっているところから培養装置が出てくる。 「なんだ!?」 驚く吉川。 「これも君らのお友達かな?彼には素晴らしい実験体になってもらったよ…アヌビスは人の心を映し出し共鳴する。果たして、彼の心はどのような心境だったのかなぁ」 淡々と説明すると同時に培養装置がゆっくりと開く。そして煙が立ちこもり人影が映る。 「天才…」 矢崎は愕然とした。かつての宮腰の面影はすでになく、右手からは爪が生え、顔面がヘルメットのようなものを被され、背中のチューブと繋がっていた。唯一、下半身にはいている制服のズボンが名残であった。 「宮腰…なのか…」 変わり果てた宮腰を見て腰を抜かす吉川。 「彼には私の手足になってもらった。彼は私の命令を遵守する。証拠を見せよう。Xよ今出てきた培養装置を破壊しろ」 命令をくだすと、宮腰。いや、Xは自身が出てきた培養装置に向けて爪を降り下ろす… 「ズガーン!!」 鉄製のはずの培養装置が一撃でめちゃくちゃに壊される。 「ハッハッハ!これはすごい…僕の期待通りだ。あ、安心して。君らはまだ殺さない。だって、大事なモルモットだからねぇ」 嫌味な口調で呟く。 「な、なんて力なんだ」 ビビる吉川。 「へ、大した脅しだ」 さすがの矢崎も冷や汗をかいていた。 「さて、もう一人も目覚める頃かな…」 すると、目の前の七海が痙攣を起こす。 「桐谷!?」 必死に落ち着かせようとするが、痙攣は止まらない。 「…や、矢崎…にげ…逃げな…あんた…あたいと…いちお…体交わした…中…でし…ょ?男だって認めた…んだ…」 全て言い終わる前に七海の肉体が徐々に溶け、まるでサナギのように丸くなってしまった。 「な、なんで…こんな…」 目の前で起こったことに同様を隠せない矢崎であった。
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