「監獄」

19/22
前へ
/365ページ
次へ
研究施設1階 「とりあえず廊下には出てみたけど、出口ってどこだ」 白壁が続く無機質な廊下。侵入者を混乱させるためか、いくつかに道が分かれており、まるで迷路のようになっていた。 「ホントここの建物はどんな構造してんだよ...」 愚痴る矢崎。 「ホントですよ。さっきの牢獄の仕掛けといい、実験施設といい。ここを作った人の意図が分かりませんよ」 既に顔に疲れが出ている吉川。 「んなことはここを出てから考えんぞ。ビッチも天才も死んだ...だから俺らだけでも生きるぞ!」 「矢崎さん...俺、生き残ります!生き残って...ヨットで世界一周するんだ」 こんな状況下で自らの夢を語る吉川。 「そういや、お前趣味でヨットやってたんだっけな」 「一応、小学生からね」 照れくさく呟く。 「なら、脱出しねぇとな。って、嘘だろ...」 急に止まる二人。目の前にはXが立っていた。 「そんな...」 絶望する吉川。 「ひ、引き返すぞ」 振り向き全速力で走りだす二人。Xは動きこそ遅いようだが、大きな歩幅で確実に二人に迫っていた。
/365ページ

最初のコメントを投稿しよう!

107人が本棚に入れています
本棚に追加