「監獄」

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「お!!何やら出口らしきところに着いたぞ」 二人は鉄製の扉の前に来ていた。 「ほら見ろ。左手の法則ってやつだ」 ドヤ顔をする矢崎。 「...きっと偶然ですね」 ぼそりと呟く吉川。 「なんか言ったかぁ?」 「いえいえ、すごいなって!そ、それよりもここ開けましょ!」 「そこのスイッチを押すようだな」 吉川の近くにあるスイッチを指さす。 「あ、分かりました」 近くにあるスイッチを押す。 すると、ゆっくりではあるが少しずつ扉が開く。 「おっ!!開いたか...さ、こんなところさっさとおさらばするぞ」 矢崎が出ようとするが、吉川は動かない。 「おい、吉川行く...ぞ」 吉川の姿を見て顔を青くする。 「へ、先に行ってください...よ」 吉川の足にはティッシュ箱サイズのネズミらしき生物が既に足の骨が見えるまでに彼の足を噛み砕いていたのだ。 「お前...いつから」 「スイッチを押そうとしたときですよ...そこのダクトから出てきたんでしょうね...物音ひとつしなかったので...それに、こいつに噛まれても...何故か痛くない...けど俺はここまでのようだ」 矢崎が目をやるとダクトの金網が外れていた。 そして、通路からはXがゆっくりと近づいていた。
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