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「…というわけなんだ」
息を切らしつつ、それまでのことを話す矢崎。
「そんなところが…この町の山中に…」
驚きを隠せない秀悟。
「聞いたことすらない…建物の特徴とか分からないか?」
智也が矢崎に尋ねる。
「振り返らずに…必死こいて逃げてきたから外見までは…ただ、途中でフェンスがあってそこを登ってきた…それに、立入禁止のプレートが張ってあった…それくらいしか分からない…」
若干パニックになっている。
「そんな…生物兵器は国際法で製造と所持が禁止されてるはず。日本政府がこっそりするなんて…」
華江が呟く。
「許せねぇな…その男は…俺がぶちのめしてやりてぇよ!!」
呟く弥彦だが。その時、クタクタだった矢崎が叫ぶ。
「グァァァァア!!」
「や、矢崎!!」
黎子が駆け寄ると、首に注射器らしきものが刺さっていた。
そして、矢崎が入ってきた扉から声がする。
「ほほう。僕を殴る…か。じゃあ、殴ってみてよ…」
右手に銃らしきものを握りしめ白衣を着た男がダンボールの間から出てくる。
「誰だ!?」
秀悟が叫ぶ。
「そこにいるモルモットが話しただろ?ま、改めて自己紹介といこう。私はタケミカツチと申します。以後お見知り置きを…」
丁寧におじぎをするが、その顔は狂喜に満ちていた。
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