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「い、嫌だ!!アッ!」
女性は逃げ惑うが、足がもつれ転んでしまう。
「…っ」
ひざを擦りむいてしまう。
そこに、春菜、華江、黎子が駆け寄る。
「大丈夫ですか?」
華江が救急キットを取り出す。
「う…うぅっ…」
涙ぐむ女性。
ひざを手当てする華江。
「大丈夫ですよ。きっと、パニックになってたんですね?」
話を聞く華江。
「私たちは何もしない。生存者を探してるだけなんだ」
黎子も呟く。
「そうよ。さっきの男達も私たちの仲間ってわけ」
春菜が補足する。
「…そうなんだ」
女性は少し落ち着いたのか、話始めた。
「ごめんなさい…勘違いしちゃって…。私は鷺沼美歌。ここのスーパーの店員よ…」
春菜らと握手する。
「鷺沼さんはずっとここに?」
春菜が尋ねる。
「えぇ…スーパーに突然人がやってきたと思ったら物を奪われて…そしてどさくさに紛れて私…男の人に…」
言葉が詰まる美歌。
「何かあったんですか?」
春菜が尋ねる。
「その…乱暴されかけて…たまたま暴走したトラックが突っ込んできて私は助かって、乱暴してた男達は死んだけど…それから、外にはゾンビみたいなのがたくさん。そこで、2階の事務所に立て籠ってたの…」
開き直るかのように話す美歌。
「そんなことが…」
華江が呟く。
「まったく…どうしようもない。だが、私たちの仲間はそんな野蛮なことはしない。どうかな?私たちと来ないか?」
黎子が美歌に尋ねる。
「無理にとは言わないわ。けど…ここもいずれ食料がなくなるし…怪しい人もいるから…」
春菜が一瞬タケミカツチを思い出すが、すぐに振り払う。
「…少し考えさせて。ごめんなさい…まだ男性のことが少し怖くて」
美歌が呟く。
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