「悲運」

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午後5時30分 秀悟らがスーパーから出ると既に夕陽が空を紅く染めていた。 「さてと…こんくらい積めば当分は持つだろう」 智也が最後の荷物を最後尾に積み、ドアを閉める。 ジープの最後尾には缶詰、日用品、飲料、その他食料が積んであった。 「少し窮屈だけど、勘弁な」 苦笑いしながら智也が呟く。 「だ、大丈夫っす…」 秀悟が少し苦しそうにしている。 「贅沢言うなよ…ハーレムでうらやましいぜ」 茶化す弥彦。 運転席に智也、助手席に弥彦、真ん中に華江が、秀悟、春菜。 そして、最後尾には黎子と美歌が座っていた。だが、荷物が足元や最後尾に置いてあるため車内はものすごく狭かった。 「そんなこと考えてる場合じゃ…うごっ!」 ぎゅうぎゅうとなっているため、春菜の豊満な胸がよく当たる。だが華江のが当たらないのが救いか。 「秀悟?」 不思議そうに尋ねる春菜。 「いやいやいやいや、なんでもないよ!し、社長行こうか!」 話を無理矢理そらす。 「へっ、若いってのはいいねぇ…じゃ、発車すんぜ!」 智也がアクセルを踏むと車は住宅街へ向けて走った。
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