「悲運」

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「あれは一体!?社長!!」 黎子も背後より迫りくる赤い眼に気が付き智也に声をかける。 「ん?どうした?」 智也は気が付いていないようだ。 「バックミラー見てください!!」 「お、おう...」 バックミラーを覗く。 「なんだあれは!?」 赤い眼の大群に驚く智也。 「どうした!?」 秀悟が黎子に尋ねる。 「後ろから得体の知れない赤眼の生物が...」 それを聞き、窓を開けて外を見る秀悟と春菜。 「なんだあれは...人型だけど動きが早い...」 「ゾンビってわけではない...わね...」 春菜が呟くと突如ジープが急停止する。 「どわっ!!」 態勢を崩す一同。 「社長!?」 弥彦が智也を見る。 「くそ...こんな時に...ガソリンが切れた...」 ガソリン表示メーターを見ると空になっているのが分かる。 「そんな...さっきまでは普通だったのに...」 華江が呟く。 同時に智也が外へ出て給油タンクを調べる。 「くそ!小さいが何かで穴が開けられてやがる...さては白衣の野郎の仕業か...」 タイヤを思いっきり蹴飛ばす。 そんな智也を赤い眼の怪物が近づく。 「な!?正体はゾンビ!?」 運転席に戻る余裕はない。武器であるチェーンソーは車の中。 死を覚悟するが。 「どんっ!!」 後ろの席の扉が開き突進してきたゾンビは転倒する。 「社長。逃げましょ。来るやつは片っ端からやるしかない」 秀悟が拳銃を取り出し、転倒しているゾンビの頭を撃ち抜く。
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