「覚醒」

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午後5時 垣根高校前 「えー!現在、自衛隊が指揮をとらせてもらってます。住民は垣根高校に避難してください」 校門の前に、自衛隊車両が2台と消防車と救急車が待機しており、臨時の治療とアナウンスを呼び掛けている。 「まさか、山間演習の途中でこんなことになるなんて…」 「あぁ…俺も想定外だ。それに、俺に反発してた連中が騒動のどさくさに紛れてヘリを奪うとは…ま、今はやれることをやるぞ!石崎、本部へ応援要請を」 隊長らしき男は部下に本部へ応援を頼んだ。 「了解しました!」 石崎という隊員は車両の中の通信機器を操作し、交信を試みる。 同時刻 垣根高校体育館 「ガヤガヤ…」 「えー、みなさん落ち着いてください。今、暴動が起きてるようですが高校内は安全です。」 壇上で校長らしき人がアナウンスする。 「運よく、山間演習に来ていた自衛隊も駆けつけています。なので皆さん、ご安心してください。」 入口には確かに自衛隊が2名配備されている。 「ここなら、安心だべ」 「これで、ゆっくり寝れる」 みんなが安堵に満ちていると… 「あの…」 一人の少女が様子を見に来ていた自衛隊員に話しかける。 「なんだい?」 「せ、生徒会室に…大事なものを忘れちゃったの…と、取りに行っても大丈夫ですか?」 眼鏡をかけた少女はモジモジと話す。 「…分かった。ゾンビも押し寄せてるみたいだし、今のうちに急ごう。万が一のために俺も同行させてもらうよ」 「…ありがとう…ございます」 一礼をし、二人は体育館の入口を出た。 それから5分後。 「隆!隆!起きてよ!」 どうやら、避難民の誰かが死んだようだ。 再びどよめく場内 「み、みなさん落ち着いて…」 校長が説得しようとするも無駄に終わってしまう。 「どうしました?」 自衛隊員が駆けつける。 「隆が…隆が!!」 母親らしき女性が涙を流す。 「…とりあえず、救護班に見てもらいましょう」 隆を担ごうとすると、突如、隆が目を覚ます。そして、自衛隊員に噛みつく。 「ウギャァァァ!」 首から血を流しながら自衛隊員は息絶えた。 パニックになる体育館。我先にと、入口や避難口に押し寄せる。 「隆…そんな、そんなそんなそんな」 完全にパニックになった母親は、そのまま息子に噛みつかれ息絶える。 逃げ遅れた住民や動けない住民らは次々と噛まれ、ゾンビは増えていった。
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