「覚醒」

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午後5時20分 校門前 「報告!体育館にて少年が1名発症!赤山2等と母親らしき女性が噛み切られた他、逃げ遅れた住民が死亡したおかげで、ゾンビが発生しました。」 慌てる隊員の話を聞くと、今度は校門の方からも。 「報告!校門側、住宅街方面におびただしいゾンビがこちらへ向かってきます」 「うむ…」 隊長は困った顔をすると、通信兵に話しかける。 「石崎、本部からの応援は!?」 「ダメだ。通信環境がイカれてます。これでは応援は頼めません…」 それを聞いて隊長らしき男が嘆く。 「隊長…」 「やむを得ない。わしが責任を取る!発症者に実弾を撃つ許可を与える!ただし、完全に発症した場合に限る!!総員、作戦準備!!」 「はっ!!」 総員とはいえ、わずか1師団。18人程度である。 「体育館に生存者がいないか調査する。田中と鈴村、大沼は校門前で住民の誘導と警戒。佐伯と大塚、針島、名護はバリゲードの作成を。残りは学内で生存者がいないか探索せよ!…うん?佐伯、佐伯はいないのか?」 「佐伯は、体育館内で生徒会室に忘れ物をしたという少女と共に生徒会室へ向かった様子です。しかし、もう戻ってきてもいい頃だと思うのですが…」 入口に立っていた隊員が話す。 「仕方ない…では、代わりに松橋、バリケード作業にあたれ。校内探索と同時に佐伯と合流するぞ。では、各自作戦を実行せよ」 隊長の号令で作戦が始まった。 しかし、1時間後、無線からの呼び掛けには誰も応えなくなった。呼び掛けた男を除いては。
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