107人が本棚に入れています
本棚に追加
午後10時 嵐川家
1階 リビング
ベランダを後にした秀悟と春菜はリビングに行く。しかし、そこで一人晩酌を楽しんでいる美歌に絡まれていた。
「ねぇ、ねぇ...お二人さーん、さっき姿なかったけどさぁ、付きあってたりすんのー?」
完全にできあがっている美歌
「い、いや。そんなことないですよ」
否定する秀悟。今は、春菜と付き合っているということは隠しておきたかったのだ。
「そ、そうですよ。私がこんな男とねぇ、ハハハハ」
必死にごまかす春菜。
「じ・ゃ・あ、秀悟君は...」
そういうと顔を近づけ。
「チュッ」
無抵抗で頬にキスをする美歌。
「な、なななななななななーっ!!」
突然のことに驚く春菜。
「え、あ...美歌さん?」
呆然とする秀悟をしり目に美歌が呟く。
「続き、し た い?」
胸の谷間を強調するポーズをとる。
「あ、いえ...その...ですから...つ」
付き合っている。と言おうとするが。
「いやだぁ、照れてるー!かわいーな!」
その前に美歌が頭をポンポンする。
「ぬぬぬぬ!しゅうごぉぉぉぉぉお!」
そんな秀悟の後ろで。春菜が憤怒し、リビングを立ち去ろうとしていた。
「ま、待てって春菜!これは美歌さんがぁぁぁ!」
あわてて追おうとするが、美歌に抱きつかれる。
「ねぇ、待ってよぉ、女の子を一人にさせるのぉ?」
うるんとした表情で秀悟を見つめる。
「秀悟のバカ!知らない!」
春菜が怒り、美歌の視線に秀悟は思わず叫ぶ。
「もう勘弁してくれーーーーーーー!」
同時刻 1階 書斎
光輝は1人書斎で本を読んでいた。「モンドレイ哲学」本のタイトルにはそう書かれていた。
先ほど書斎で手にし
「生きる者は常に希望と絶望を背負い...時を歩む...」
本の1節をおもむろに口に出す光輝。
「...だが、この街には絶望ばかしひしめいている。今あるべき希望は...ここにいる奴らだけだな...」
本を閉じ、座っている椅子から立ち上がる。
「いつ死ぬか分からないけどな...」
こぶしにはメリケンサック、そして、背中にはショートバレルのショットガンを背負い、書斎をあとにした。
最初のコメントを投稿しよう!