「狩人」

18/29
前へ
/365ページ
次へ
同時刻 2階 青柳の間 「zzz…」 戦いからの疲れか、熟睡する華江。 「はぁ...明日もこんな日々が続くのかな」 春菜は一人布団の中に潜り呟いていた。 「こんなところさっさと抜け出してしまいたいや...」 まだ、眠らない。眠りたくても眠れないからだ。 「それに比べて、華江はよく眠れるわね...羨ましい。って」 さりげなく華江を見るが、その寝相に春菜は唖然とする。 「むにゃむにゃ…」 枕が足下にあり、へそと胸が丸出しの状態で大の字で寝ていたからだ。 午後11時40分  庭 「社長。そろそろ休んでは?」 ベランダで見張りをしている黎子が智也に呟く。 「ゾンビやわけの分からない怪物が攻めてくるかもしれない。こいつらを備えるだけでも大分違うだろう。あと、もう少しで…」 嵐川家の入口の門に何かの仕掛けを設置する智也。 「よし、これでゾンビが侵入しても多少は防げよう」 門の上にはいくつかの水風船がネットの上に乗っかっていた。 「それってただの水風船じゃ…」 不思議な感じで見つめる黎子。 「いや、これはただの水風船じゃないよ」 自信ありげに呟く智也。 「ま、社長のことだから何名案だと思うけど…」 引き続き双眼鏡で見張りを続ける黎子。 すると、いくつかの影が近くを走るのを見かける。 「敵?けど、早かった...」 胸騒ぎを感じると共に、日本刀を抜く。 「ガキィィィン!」 日本刀が金属音をたてる。 「この!!」 日本刀にしがみついている何かを壁に向かって放り投げる。 だが、怪物は体勢を立て直し床に着地する。 「…きぃいぃぃぃぃ!」 威嚇する怪物。 見た目はニホンザルだが、牙が鋭くなり、爪は刃物のように鋭利になっていた。 「敵襲だ!!社長!!みんなを」 叫ぶ黎子。 「わかった!」 急いで家へ戻る智也。
/365ページ

最初のコメントを投稿しよう!

107人が本棚に入れています
本棚に追加