「狩人」

20/29
前へ
/365ページ
次へ
2階 如月の間 「秀悟!こいつは!」 弥彦が血に塗られたサーベルを握っていた。 窓ガラスが割れ、部屋にはサルの怪物の死体が転がっていた。 「わからない。だが、こんなのが一斉に襲いかかってきたら…」 この先はあえて言わなかった。想像しなくても察しがつくからだ。 すると、部屋の扉が開く。 「秀悟!弥彦!大丈夫!?」 黎子と、春菜。そして若干寝ぼけ気味の華江が入ってくる。 「あぁ、なんとか」 秀悟が呟く。 「社長、美歌さん、司馬の奴は!?」 弥彦が呟く。 「司馬先輩はわかりませんが、島さんは庭でなにやら作業を。美歌さんはリビングで寝てたはずです…」 華江が呟く。 「…行こう!」 考える前に秀悟が動く。 「おおい!秀悟!…」 追いかける弥彦。 「…私たちも急ごう」 黎子と春菜、華江も続いた。 嵐川家で混乱が起きている頃、近くの路地にジープが一台停まっていた。 「くっくっくっく…逃げ惑え逃げ惑え…ニホンザルにアヌビスを投与した怪物。カクエン。素早い動きと高い知能。そして、人の皮膚くらいなら容易く切り裂く爪と牙。爪にアヌビス感染能力がないのが残念だけど、一生物兵器としては使えるかな。試作体として30体だけ作ったけど予想以上の成果だな」 白衣を着た男。タケミカツチが薄ら笑いを浮かべている。 「さて、今度は改良したアヌビスの力とこの腕の力を見せてもらうかな」 そう言うと車から降り、嵐川家に向かって歩いていった。
/365ページ

最初のコメントを投稿しよう!

107人が本棚に入れています
本棚に追加