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2階 如月の間
「秀悟!こいつは!」
弥彦が血に塗られたサーベルを握っていた。
窓ガラスが割れ、部屋にはサルの怪物の死体が転がっていた。
「わからない。だが、こんなのが一斉に襲いかかってきたら…」
この先はあえて言わなかった。想像しなくても察しがつくからだ。
すると、部屋の扉が開く。
「秀悟!弥彦!大丈夫!?」
黎子と、春菜。そして若干寝ぼけ気味の華江が入ってくる。
「あぁ、なんとか」
秀悟が呟く。
「社長、美歌さん、司馬の奴は!?」
弥彦が呟く。
「司馬先輩はわかりませんが、島さんは庭でなにやら作業を。美歌さんはリビングで寝てたはずです…」
華江が呟く。
「…行こう!」
考える前に秀悟が動く。
「おおい!秀悟!…」
追いかける弥彦。
「…私たちも急ごう」
黎子と春菜、華江も続いた。
嵐川家で混乱が起きている頃、近くの路地にジープが一台停まっていた。
「くっくっくっく…逃げ惑え逃げ惑え…ニホンザルにアヌビスを投与した怪物。カクエン。素早い動きと高い知能。そして、人の皮膚くらいなら容易く切り裂く爪と牙。爪にアヌビス感染能力がないのが残念だけど、一生物兵器としては使えるかな。試作体として30体だけ作ったけど予想以上の成果だな」
白衣を着た男。タケミカツチが薄ら笑いを浮かべている。
「さて、今度は改良したアヌビスの力とこの腕の力を見せてもらうかな」
そう言うと車から降り、嵐川家に向かって歩いていった。
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